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営業AIをサイトに1か月設置して分かったこと--会話率60%から90%に改善した6つの施策

最終更新日: 2026-07-30
2026.07.30|約10分|営業AI

この記事は、自社サイトへの営業AI設置を検討しているBtoB企業のマーケティング・インサイドセールス担当者に向けて、私たちRabona AIが自社サイトで約1か月間行った検証の記録をまとめたものです。成功した施策だけでなく、最初に失敗した設計もそのまま公開します。

この記事で分かること

  • 音声で会話する営業AIを自社サイトに1か月設置し、会話率を約60%から約90%まで改善した具体的な6つの施策
  • 会話が始まらない・途中で切られる・商談につながらない、という3つの壁をどの順番で崩したか
  • 営業AIの成果はAIモデルの賢さではなく、導線・声・会話設計・資料共有・設置位置を含む「営業体験全体の設計」で決まるという学び

なぜ営業AIを自社サイトに設置したのか?

私たちRabona AIは、音声で会話しながらサービス説明・質問回答・商談化までを行う「営業AI」を自社サイトに設置し、約1か月間の検証を行いました。サイトを訪れた人が、資料請求フォームを埋める代わりに、その場でAIに質問し、その場で疑問を解消できる状態を作れるか、というテストです。

検証で見たのは「AIの回答精度」ではありません。会話開始の導線、声(話者)、回答の長さと話し方、AIからの質問設計、資料共有の有無、サイト上の設置位置といった複数の要素を1つずつ改善しながら、会話率・会話継続率・商談化・受注への影響を観察しました。

結論から言うと、会話率は約60%から約90%まで改善し、会話継続率も向上、そして実際に受注に至ったケースが発生しました(Rabona AI社内データ、2026年6〜7月、自社サイト設置の営業AI実績)。

営業AI設置から受注までの1か月の改善時系列

設置直後、どんな課題にぶつかったのか?

最初の設計は、今振り返ると「AIを設置すれば話してもらえる」という楽観に寄りかかったものでした。実際には4つの課題が立て続けに見つかりました。

課題1: そもそも会話が始まらないのはなぜか?

当初は、サイト上で営業AIを開くとそのまま会話が自動開始される設計でした。しかし、ユーザーが一言も話さずに切ってしまうケースが多発しました。ここで立てた仮説は「人はサイト上で突然声を出すこと自体に心理的ハードルがある」というものです。機能の問題ではなく、心の準備の問題です。

課題2: 会話しても途中で切られるのはなぜか?

会話が始まっても、AIの回答が長く、いかにもAIらしい話し方になっていました。典型例が「特徴は3つあります。1つ目は〇〇です。2つ目は〇〇です。3つ目は〇〇です」という構造化された長い説明です。情報としては正しいのですが、音声会話としては負荷が高く、途中離脱につながっていました。

課題3: 音声だけでは理解しづらい内容があるのではないか?

プラン説明や導入方法、ユースケースなど、比較・検討に必要な情報は耳だけで処理しづらいことが分かりました。読めば数秒で比較できる料金表も、音声で読み上げられると記憶に頼った比較を強いられます。

課題4: 設置位置が早すぎたのではないか?

当初はサイト先頭のポップアップや最上部という、かなり目立つ位置に設置していました。その結果、サービスへの興味関心がまだ形成されていない人や「なんとなくAIと話したいだけの人」の会話が増え、会話数は取れても継続や商談につながりにくい状態でした。

会話率を60%から90%に上げた2つの施策とは?

施策1: 会話開始を「自動」から「ボタン」に変えるとどうなるか?

開くとそのまま会話が始まる設計をやめ、「会話を始める」という明確なボタンを設置しました。ユーザーが自分の意思で会話を始める形への変更です。狙いは、ユーザーに「今から話す」という心の準備を持ってもらうこと。強制的に話させるのではなく、主体的に話し始めてもらうことです。

ここでの学びは明確でした。音声会話は、機能があるだけでは使われません。ユーザーが「今なら話してもいい」と思える導線設計が必要です。

施策2: 話者を変えると会話率はどう変わるか?

もう1つの変更が声です。当初は代表自身(男性)の声を使っていましたが、これを柔らかい女性の音声に変更しました。この2つの施策を経て、会話率は約60%から約90%に改善しました。

音声会話では「何を話すか」だけでなく、第一印象・話しかけやすさ・声のトーンが会話開始率に大きく影響する、というのが私たちの実感です。なお、導線変更と音声変更は近いタイミングで実施したため完全な因果分離はできていませんが、全体としての改善寄与は大きいと判断しています。

会話が続くようになった会話設計の変更とは?

施策3: 回答を短くすると何が変わるか?

長く説明的な回答をやめ、まず質問に対して短く結論を返し、補足は必要最小限にし、一度に全部説明しない方針に変更しました。人間同士の自然な会話に近づけ、「AIに説明を聞かされている感」を減らし、情報量よりも会話のテンポを優先する狙いです。

営業AIは「正確に多くを話す」よりも、相手が今知りたいことだけを短く返すほうが重要。音声会話では、情報の網羅性より理解負荷の低さが大切。

施策4: AIから質問を返すとなぜ会話が続くのか?

ユーザーの質問に一方的に説明し続ける形をやめ、短く回答した後にAI側から質問を返す形にしました。会話を双方向化し、相手の興味関心や検討段階を探る、人間の営業に近い進め方です。営業AIを「説明役」ではなく「ヒアリング役」として設計し直したとも言えます。

実際の会話がどんなテンポになったのか、検証中の営業AI「みなみ」との実会話サンプル(約3分)を公開します。短い回答と質問返し、そして会話の途中からその場でロールプレイに切り替わる流れが分かります。

実会話サンプル: 営業AI「みなみ」との会話(約3分)
※ 求人エントリー直後の折り返し電話をAIに任せたい、という相談から、その場で面談日程回収のロールプレイに進む実際のやりとりです。

この会話の中に、質問返しの典型例があります。

みなみ今、こうしてお話ししているくらい自然に会話できます。あいづちでは止まらず、割り込みならスッと止まるので。率直に、今の会話にAIっぽさは感じますか?

訪問者そんなでもないですけどね。

みなみよかったです。実は今のやりとり自体が、そのまま会話品質のデモなんですよ。ちなみに、御社ではどんな電話をAIに任せたいですか?

説明を続けるのではなく、短く答えて相手に質問を返す。この一手だけで、会話は「製品説明の視聴」から「自分の課題の相談」に変わります。相手のニーズに合わせて深掘りできるため、会話継続率が改善しました。

受注につながった転機は何だったのか?

施策5: 資料を見せながら話すと会話はどう変わるか?

すべてを音声だけで説明する形をやめ、会話内容に応じて資料や画面を表示しながら話すようにしました。料金について聞かれたら料金表を、導入事例を聞かれたら関連事例を、仕組みを聞かれたらサービス概要資料を表示する、という具合です。

耳だけでは理解しづらい内容を視覚で補い、人間のオンライン商談のように「話しながら見せる」体験にする狙いです。この変更で会話継続率がさらに向上し、会話内容も浅い情報収集から具体的な導入検討へと変化しました。そして、ここから実際に受注に至ったケースが発生しました。

音声だけではなく、音声×視覚資料の組み合わせが非常に強い。営業AIは単なる音声チャットではなく、商談体験そのものを再現できる。

施策6: 設置位置を下げると会話の質はどう変わるか?

最後の施策が設置位置です。先頭ポップアップやファーストビューから、ページを少し読んだ後に目に入る中段寄りの位置へ移動しました。興味関心が少し高まった人に使ってもらい、目的の薄い会話を減らす狙いです。

結果として、適当に話したいだけのユーザーが減り、ある程度サービスに興味を持った状態で会話を始める人が増え、会話継続率の改善につながりました。営業AIは「とにかく目立つ場所に置けばいい」わけではなく、ユーザーに疑問が生まれたタイミングで出すことが重要です。設置位置はUIの問題ではなく、マーケティング設計の一部です。

6つの改善施策のBefore/After比較表

1か月で数字はどう変わったのか?

#変えたところ変更前変更後観測された変化
1会話開始の導線開くとそのまま会話が自動で始まる「会話を始める」ボタンを設置会話率 約60% → 約90%
2話者代表本人(男性)の声柔らかい女性の音声同上(施策1と近い時期のため因果は分離できていない)
3回答の長さ「特徴は3つあります」型の構造化された長い説明まず結論を短く、補足は必要最小限会話継続率が改善
4AIからの質問一方的に説明し続ける短く答えたあとAI側から質問を返す会話が双方向になり継続率が改善
5資料の提示音声のみ会話内容に応じて料金表・導入事例を画面に表示継続率が改善し、ここから受注が発生
6設置位置先頭ポップアップ/ファーストビューページ中段目的の薄い会話が減り、継続率が改善

Rabona AI社内データ、2026年6〜7月、自社サイトに設置した営業AIの実績。

約1か月の検証で、ファネルは次のように変化しました。

営業AIのファネルと改善ポイント

定性的な変化も明確でした。会話開始のハードルが下がり、会話がより自然になり、ユーザーの質問が浅い情報収集から具体的な導入相談へ変化しました。営業AIが単なる「説明ツール」ではなく、「商談を前に進める役割」を持ち始めたのです。

営業AI運用で一番重要な学びは何か?

今回の検証で分かった本質は、営業AIの成果はAIモデルの賢さだけでは決まらないということです。重要なのは、次の要素を一体として設計することです。

営業AIの成果を決める7つの要素の相関図

会話を始める導線、声と第一印象、回答の長さ、AIからの質問の返し方、資料の見せ方、設置位置、そしてユーザーの検討タイミングとの一致。どれか1つが欠けても、会話は始まらないか、始まっても続きません。

営業AIは「話すチャットボット」ではなく、営業体験そのものを設計するプロダクトである。

営業AIはマーケティングデータ基盤になるのか?

営業AIの価値は、商談獲得だけではありませんでした。会話ログを通じて、顧客が検討段階で何を気にしているかが「ユーザー自身の言葉」で分かるようになります。具体的には次のようなことです。

アクセス解析で分かるのは「どのページを見たか」までですが、営業AIの会話ログには「なぜ迷ったのか」「何が不安なのか」「どこが分かりづらいのか」が言葉として残ります。つまり営業AIは、営業自動化ツールであると同時に、顧客理解とサイト改善のためのマーケティングデータ取得基盤でもある、というのが1か月運用しての結論です。

なお、この記事に登場する営業AI「みなみ」は、現在もRabona AIのトップページに設置されています。この記事で書いた改善後の会話体験を、実際に試していただけます。

よくある質問

Q. 営業AIの会話率60%から90%への改善は何を変えて実現したのですか?

2つの変更です。1つ目は、開くと自動で会話が始まる設計をやめ、「会話を始める」ボタンでユーザーが自分の意思で会話を開始する導線にしたこと。2つ目は、話者を男性の声から柔らかい女性音声に変更したことです。サイト上で突然声を出す心理的ハードルを下げ、第一印象の話しかけやすさを高めたことが会話開始率の改善につながりました。

Q. なぜ自動で会話が始まる設計はうまくいかなかったのですか?

人はサイト上で突然声を出すこと自体に心理的ハードルがあるためです。会話が自動開始されると「今から話す」という心の準備ができておらず、一言も話さずに切ってしまうケースが多発しました。ユーザーが「今なら話してもいい」と思えるタイミングを自分で選べる導線設計が必要でした。

Q. 営業AIの回答はなぜ短くすべきなのですか?

音声会話では、情報の網羅性よりも理解負荷の低さが重要だからです。「特徴は3つあります。1つ目は…」のような長い構造化説明は、テキストでは正確でも音声では負荷が高く、途中離脱の原因になります。まず結論を短く返し、補足は最小限にし、代わりにAI側から質問を返して相手の知りたいことを深掘りするほうが会話が続きます。

Q. 営業AIに資料共有を組み合わせると何が変わりますか?

会話の質が変わります。料金表・導入事例・サービス概要など、耳だけでは処理しづらい情報を画面に表示しながら話すことで、人間のオンライン商談に近い「話しながら見せる」体験になります。私たちの検証では、この変更で会話継続率が向上し、会話内容が浅い情報収集から具体的な導入検討へ変化し、実際の受注につながりました。

Q. 営業AIの設置位置はサイトのどこが最適ですか?

ページ最上部や先頭ポップアップよりも、少し読み進めた中段付近が有効でした。目立つ位置に置くと、興味関心が形成されていない人の目的の薄い会話が増え、会話数は取れても商談につながりにくくなります。ユーザーがコンテンツを読んで疑問が生まれたタイミングで目に入る位置に置くことで、会話の質と継続率が改善しました。

Q. サイトに設置する営業AIとは何ですか?

Webサイト上で訪問者と音声で会話しながら、サービス説明・質問回答・資料提示・商談化までを行うAIです。チャットボットのようにテキストを入力するのではなく、オンライン商談のように話しながら疑問を解消できるのが特徴です。Rabona AIでは、会話の内容に応じて料金表や導入事例などの資料を画面に表示しながら会話する、商談に近い体験を独自技術で実現しています。

Q. どのような業界・サイトに向いていますか?

料金体系や導入プロセスなど「問い合わせ前に確認したいことが多い」商材と相性が良く、BtoB SaaS、人材、不動産、士業、コールセンター関連サービスなどで効果を発揮しやすいです。検討に時間がかかる商材ほど、訪問者の疑問をその場で解消できる価値が大きくなります。逆に、即決型の低単価商材では通常のフォームやチャットで十分なケースもあります。

Q. チャットボットや問い合わせフォームと何が違いますか?

最大の違いは、双方向の音声会話でAI側からも質問を返し、相手の検討段階に合わせて深掘りできる点です。フォームは訪問者が能動的に入力するまで何も起きず、テキストチャットボットは一問一答になりがちです。営業AIは短く回答した後にヒアリングを重ね、必要な資料を見せながら会話を商談へ前進させます。実際に私たちの検証では、会話内容が情報収集から導入相談へと質的に変化しました。

Q. 導入にはどれくらいの費用と期間がかかりますか?

費用は会話設計の範囲や資料連携の有無によって変わるため、まずは無料相談で現状の課題とサイト構成をお聞かせください。導入自体はサイトにタグを設置する形のため、技術的な準備は短期間で完了します。トークスクリプトや提示資料の設計を含めても、数週間程度での運用開始を想定しています。

Q. まず試してみるにはどうすればよいですか?

Rabona AIのトップページに、この記事で紹介した営業AI「みなみ」を設置しています。「会話を始める」ボタンから、改善後の会話体験をそのまま体験できます。自社サイトへの設置を検討される場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。貴社の商材とサイト構成に合わせた会話設計をご提案します。

監修

鳥邉 翔Kakeru Toribe

株式会社Rabona AI 代表取締役

東京大学を卒業後、同大学院農学生命科学研究科を修了。国内トップのCRM/MAプラットフォームの開発に従事し、CRM・MA機能をフルスタックで構築。独立後はLLM・音声AIの開発研究に携わり、株式会社Rabona AIを創業。音声AIの研究開発を牽引している。(会社概要

この記事で紹介した営業AIの会話体験は、Rabona AIのトップページで実際に試せます。自社サイトへの設置や会話設計のご相談は、無料相談からお気軽にどうぞ。貴社の商材と検討フェーズに合わせた営業体験の設計をご提案します。

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